政策
2015年11月26日
政策雑感(6)
■ 日本の経済はどうなっているのか。
アベノミックスをどう考えるのか。昔米国でレーガン大統領の頃、その名にちなんでレーガノミックスという名前の政策がとられました。またその名前をキャッチコピーして、アベノミックスが生まれました。
(ⅰ)デフレの原因は日本一国では解決できません。
- 経済がグローバル化しているので、原料代、人件費等はすべて同一方向に動こうとするので、一物一価という原則が働きます。仮にデフレは物価水準の問題と捉えるのであれば、国境なき経済のもとでは他国の物価水準に影響をうけ日本だけで物価を上げることは困難です。
- 物価が上昇すれば働く人達等の実質賃金は下がっていきます。
- 円安誘導は何か良い事をしているみたいですが、恩恵を受けているのは輸出関連企業だけで、食品等は輸入に依存している部分は値上げになり、生活に直接打撃を与えます。
- 「物価は上昇しない方が良い」これは当たり前の原則です。強い成長のもとで起こるインフレはやむを得ないものがありますが、物価上昇を入れた名目成長がいくら大きくなっても、本物の成長とはいえません。
- 今、金融世界で何が起きているのか。働いている人達はその所得の一部を銀行に預けます。銀行は今の金利からすると、コストがゼロのお金を預かるわけです。さて銀行はどうするのでしょうか。貸したい先の優良企業は自分でお金を持っているか、安い利息の社債等を出しますから、銀行からお金を借りる必要がありません。勿論一部は住宅ローン等にあてられますが、大きなお金を預かった、人件費等はかかる、よってやむを得ず国債を買います。国債から入る利息収入が今の銀行の大事な収益構造になっています。
■ 資産を国債で持つということはどんなことでしょう。
(ⅰ)確実に利息が入る。
(ⅱ)今は長期金利は安いのですが、もし仮に将来長期金利が上がったとすれば、銀行は莫大な損失をかかえることになります。金融機関は破綻の危機に直面します。そこで日銀が長期金利を上げないよう、国債等をどんどん買うことになり、そのお金は文字通り「印刷」をして、お金を作るということに他ありません。日銀のバランスシートが痛むだけでなく、本当に耐えがたいインフレに直面する可能性が高くなります。
今でも政府が出す国債をワンタッチで日銀が買っています。日銀の保有残高は益々増えていきます。
今のところは目立った悪い事は表われてませんが、将来の破綻の種が毎日撒かれているのです。
- お金がジャブジャブなら、企業は設備投資をするだろうと考えるのですが、企業はお金を握りしめて、設備投資を大きくやろうという所は見当たりません。
- それでは個人の消費はどうかといえば、国民は生活に必要な物は全部持っているという段階で生活関連の消費がこれから伸びるということはないでしょう。
- 例えば住宅はマクロでみれば、空き家が全国で400万戸位あるといわれていますので、住宅ブームは起こりようがありません。
■ そこで需要は海外に依存せざるを得ないのですが
- 価格競争が厳しい。
- 海外市場の好不調がある。
- 日本は新規分野をどこにもつのか展望は開けていない。
財政健全化がなぜ大事かといえば、日銀がお金を印刷して財政を支えるという現状はいつまでも続けるわけにはいきません。
【続】