政策
2016年1月5日
政策雑感(8)
日銀の現在の金融政策の出口はあるのか。
私の友人は「ない」と断言する。それでは出口とはいったい何を指していうのだろう。
それは自ら「異次元」と称する金融政策を止め、中央銀行としての、ノーマルな金融政策に戻ることである。
ノーマルな金融政策は何かといえば
- 物価の安定、ミステミック・リスクの回避が目的。
- その手段として、金利を上下に変動させる。
(景気が過熱しそうな時は上げて引き締める。また景気が悪くなりそうな時は金利を下げる)
この2つの逆方向の手段をもっている。 - 買いオペ、売りオペと言われる調整手段を有する。
すなわち市場にお金が余り気味の時は、日銀は手持ちの債権等を売って、お金を吸い上げてしまう。 また逆に市場にお金が足りない、結果として金利が上昇してしまうという場合には、金融機関等が保有している債券等を買い上げて、お金を市場に供給する。 - 金融システムが危ない時は、特別なケースとして大量の特別融資を行う。
多分上記の4つの機能がノーマルな状態での中央銀行たる日銀の権能であると思う。
ところがこの大事な3つが機能不全に陥っている。(4を除く)
理由は簡単だ。日本をはじめ世界の先進国は皆、緩和政策をとっており、結果として長期金利はほとんどゼロといっていい水準にへばりついている。従って金利を上げ下げして景気に作用させるということができなくなっている。
また日本に於いて特異な現象は
- 国債の発行残高が1,000兆を超えた。
- 日本銀行はそのうち3割、300兆を持っている。
- 毎年80兆円の国債を買っている。そのうち新しい国債40兆古い国債40兆である。
このことは長く続けられない。理由は次の通りである。
新しい国債40兆は本来国民が税を通じて払うべきものであって、「お金を印刷」して予算を組むことは、国民のお金の価値を少しずつ薄めていきます。
今はすぐにインフレになりませんが、インフレの種をまいていることだけは確かです。
今の政策の前提は財政の健全化がいずれ実現するという事です。ですから健全な出口とは、日銀が無理をして国債を買わなくて済むような状態。また、金利政策、買いオペ、売りオペ等を通じて健全な経済の発展に寄与できる状態です。
私の友人2人が別々に次のことを言っていました。
- このままでは国債の国内消化が難しくなる。海外で資金を調達するようになれば、長期金利は上がる。恐ろしい結末を見るぞ!
- この政権のうちは良いが、次の政権は悪い所を全部かぶる政権になるよ!